ヨーカン長屋から

日暮れにたどる小野家の食卓

月別アーカイブ: 1月 2013

たのしい川べ

鼓介とWimbledonのPOLKA THEATREに『The wind in the Willows(たのしい川べ)』を観に行った。

すこし前に日本大使館から在英邦人向けのサービスで国語の教科書をいただいた。小学二年生(下)の巻頭は『おてがみ』。時同じくしてイギリスの鼓介のクラスでは『たのしい川べ』が読まれていた。かえるの季節。

劇場作品『The wind in the Willows』も、とても良かった。当時の階級社会を擬人化した話などというけれど4匹が友達なのがいい。性質の違う4人がわあわあやってる感覚がいいなあ。お話のはじまりが早春なのがいい。普段あまり交流のない人を積極的に花見に誘いたくなるような、新しい友達を作りたくなるような話。

The-Wind-in-the-Willows

純粋なふたり

土曜日の朝、新太の水泳教室の時間に日本の妹から電話がきた。

涙声で「お姉ちゃん、今だいじょうぶ?」
緊張。視線は新太のスイミングに固定したまま先を促すと「ママがだめみたい。最期にお姉ちゃんと話したいって」

母は昨年二度入院した。大事には至らなかったが、持病の心臓、視力、リウマチを抱えて70歳を迎え、晩年に入った。わたしの方から電話する回数も増えた。

電話口に母が出る。今日お父さんが出かけている間に頭がくらくらしてきて、鼻血が止まらない。これはだめだな、という感じが自分の体だからわかるのだと言う。

背泳ぎする新太をぐっと睨みながら聞いたばかりの声を高速で巻き戻し、再生。判断する。
よし、わたしもわかる。お母さんは大丈夫だ。

確かな手がかり待って黙しながら、実際危ないのだとしたら、とも考える。やがて母の方から葬式は密葬にして欲しい、親類、盲人協会のみなさんにも言わないで欲しい、あんた達ふたりのことはお父さんに・・・といつもの死後談の調子が出てきた。続いて、ガンを患っていた箱根のお兄ちゃんが先日亡くなったと。ああ死神の影はこれであったか。それから「この電話のこと達也さんに言わないで」とぶっきらぼうになって電話を妹に渡した。わたしは妹を励まして電話を切った。

翌日妹に電話をかけて状況をくわしく聞く。やはり寒さで弱ったところに身内の不幸が重なり怖かったのであろう。今まで聞いたことのない母の生い立ちの話などはじめたので妹が先に動揺してしまったらしい。母もそれに応えるようにふと旅立ちの心持ちになった。そこに鼻血が出てふたりでパニック、一向に血が止まらずそのまま死んでしまうと思ったようである。激情型母娘。想像通りの想像力。
家族のドラマはまだまだ続く。がんばれ。春になったら待望の姉、里帰りである。

昼食 回鍋肉、ごはん

夕食 ツナとわかめの炒飯、豆腐のお吸い物

いくたびも雪の深さを

今年もロンドンに雪が降った。

金曜の登校時に降り出てあっという間に舗道が白くなった。積もるか、積もるか、窓の外と天気予報をにらんでついに午後3時、よし、と弾んでそりのしたくに屋根裏に上がる。放課後Blythe Hillに滑りに行った。

本日土曜。夫とこどもが朝も早々からそりを引いて出て行く。わたしが遅れて着いた頃には滑り飽きて、雪だるま製作をはじめる。

photo (76)

周りで何組、何家族と同じことをしているので昼近くには一帯が雪だるまの集会のようになった。完成を機に一時下山。ロッジ風の昼食を挟んで午後は友達と合流してまた滑った。こどものそりは軽くて速い。流星のようにぴゅーんぴゅーんと丘を飛ぶ。今年は新太も自力で頂上に戻って来るようになり、ぼうっとしていると運動不足で足が凍る。夕方は積極的に下まで迎えに行って体を温めた。

photo (77)

予報は明日から来週前半にかけて量は少ないがまだ降ると出ている。

今日一日で一気に削られた斜面が朝には白く甦っているのかどうか。

おやつ チキンラーメン・ミニ(こども)、白玉ぜんざい、きな粉白玉

昼食 ローストチキン レモン風味、ローストポテト、ブロッコリー

おやつ ハムとチーズのホットサンド、ホットチョコレート

夕食 玉子そば

たのしかっ田

学校が長期休みの間だけ鼓介に日本語で日記をつけてもらっている。我が家唯一の日本語学習。1冊終わったらラーメンを食べに行く。

去年の春休みから3冊目。伸びたなーと思う部分が英語(読み・作文・スペリング)の習得とシンクロしている。芯の部分をで吸収できたら逆からも出せるものなのだなと。

そして漢字。日本ファンの外国人の感覚に近いせいかハーフ日本人の子が漢字好きという例はけっこう聞く。うちは漢字練習をしないから七曜日の字が丸一年で何となく完全になったくらいのスローペースであるが、漢字を書きたくて日記が長くなるならありがたい。

漢字の覚え方は独特で月・火・水はムーン、ファイヤー、ウォーター。口、日、田はウィンドウ。鼓介はこの「田」を書く機会を待ち続けていたが、いつまでたっても日記に登場しない。とうとう先日「・・・すごいたのしかっ田。」と書いた。漢字仮名混じり文にはこだわりたいのでそれは訂正した。その後の会話。鼓「田はいつ使うの」母「ふだんはほとんど使わないけど人の名前には多い。えーと(サッカー名鑑に手を伸ばして)誰がいたっけなあ」鼓「(すかさず)ホンダの田!?」母「そうそう」鼓「(感激して)ヨシダも田!?」

日本に行ったら五反田、高田馬場、田端・・・と指差して叫んでくれるだろう。いつか光る田んぼも見せてあげたい。

夕食:納豆ご飯、ひじきとレンコンの煮付け、黒豆、芽キャベツの味噌汁

筆はじめ

仙台の両親からお正月の小包をいただく。

躍り出てきて宝箱に上体を突っ込み、好物の煎餅、和菓子、ラーメンなどを掘る鼓介、新太。こどものいる時間に届くと毎回この騒ぎ。「わー、鼓介にバッグ!!」と歓声。プーマのバッグに入ったスポーティな書道セットが出てきた。お祭の体験書道が楽しかったようなので頼んでおいたのだ。見慣れない習字道具を広げる鼓介。「寿司のモノと醤油が入ってたよ」筆巻き、墨汁を渡される。

背後で「レゴー!」と新太。大好きな折り紙もたくさん。幼児期から触れてきたレゴや折り紙。無駄にしたり苛々したり喧嘩したり飽きたりのサイクルを4〜5年経てゆっくり上手になってきた。長かったがついに最近ひとりで黙々と、の段階に達した。特に甘えっ子の長男鼓介にとって結晶ともいうべきマイルストーン。心身の発達で自然にできることが増えていく爽やかさ。

お習字一緒にできるかな。いっぺん男児を育てたらあんな小さい紙に二文字、四文字書いていたのが信じられない。半紙一枚に一文字にしよう。何年ごしの運筆習得となるか、楽しみ。

photo (71)

昼食 味噌ラーメン、コーン&ほうれん草のせ

夕食 ふりかけご飯、黒豆、れんこんの味噌汁(こども)豚キムチ炒め(夫)キムチ雑炊(わたし)