ヨーカン長屋から

日暮れにたどる小野家の食卓

カテゴリーアーカイブ: 本

ぺろダイスシティ

春生まれの息子たちの誕生会がおわった。
新太7歳の誕生会は強風に負けずピクニック。
そしてお兄ちゃんプロデュースのどろけいとお父さんのサッカー。

これでようやく春。
イースターの間ずっと暑かったからもう初夏の気分だけど。

鼓介はこの春いろんなことができるようになった。
本を1冊完読できるようになった。
小学校では読書の時間に読む自分用の本を1冊持って行く。
読書家でもファンタジーファンでもない男の子に本を選ぶのは難しかったし、読後の満足感もYear5になるまで未体験だったと思う。それが最近本と映画の好きなジャンルがわかってきて『Curious incident of the Dog』『Wonder』『About a boy』とヒットが続き母も一安心。あとリフティングができるようになった。

新太はひと頃まですごいサイクリングブームで、丘の上にある小学校へ自転車で通っていた。
それがイースターにNew Forestで毎日何時間も林間サイクリングをして気が済んだらしい。
今はすごいサッカーブーム。
兄と違って1人でも黙々練習するし色々自分で研究してる。
とうとう地元チームの練習にも通い始めた。
そして鼓介と一緒にX-Factorなどのオーディション番組を見ては音楽を仕入れてくる。
パラダイスティ(ガンズ&ローゼス)を良く歌ってるが発音がよくて羨ましい。

私はケント大学の仕事が終わってすぐ新しい生徒さんが来て日本語集中レッスンスタート。
ウェールズ人の女性で、毎年東北で舞台活動を行っている振付家だそうだ。
去年は青森、陸前高田。今年は岩手へ行くらしい。
去年から始めた「いつか古文を読みたい人」に続いて個人レッスンは現在おもしろい生徒さんしかいない状態。
出会い運が鍛えられてる。

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おやつ:ピザ
夕飯:肉じゃが、ご飯、豆腐とわかめの味噌汁

デリケートなこどもたち

夫がサッカーコーチから解放された最初の週末。ひさしぶりに家族で町に出て奈良美智展を見た。

秋のBloomsbury。ピーターパンはこの町の赤煉瓦の窓からウェンディ達を連れ出した。最近また読んだら冒頭の、お母さんとお父さんが生まれてくるウェンディのために倹約して家計簿をつけるシーンがとてもよかった。そして最近ディズニー映画の古い方のピーターパンを観たら、昔かっこよかったピーターパンの支離滅裂さにびっくりした。こどもが純粋って単なる気ままのことかい。奈良美智のオデコ幼児はピーターパンにもちょっと似てるけど、目にいっぱいのデリケート抱えてピーターパンほど気楽じゃない。ネバーランドに行かない子は町でパンクに育っていく。新太もよくこの目で向かってくる。

ワークショップにも参加して、鼓介は奈良美智風の自画像を描いた。アートの才能がないと自分では思っているみたいだけど、作品はいつもすんごい鼓介だねとしか言いようのない正直さで、それがいいのだ。

帰りに新しいラーメン屋『金田屋』に行った。向かいもラーメン屋の一風堂。その一帯は店が見える前から豚骨のにおいがした。豚骨ラーメンは10年ぶりぐらいだけどおいしかった。新太も完食、鼓介は替え玉をたのんだ。
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昼食 豚とりんごのオーブン焼き、ローマンカリフラワーのチーズグリル

夕食 豚骨ラーメン、大人は辛みそ入り

1928ベルリン

年末に飛行機の中で「グレートギャツビー」を観た。ニューヨークの成金とアールデコの組み合わせは最高にちんちくりんで、ギャツビーのイタさが生々しかった。ディカプリオの演技は絶妙で、映画のタイトルは「ディカプリオのギャツビー」の方がいいと思った。あの時代、あの世界には生きたくないと実感。

そして先週鼓介とNational Theatre へ「Emil and detectives」を観に行った。ドイツのアールデコ、1920年代ベルリンに痺れた。黒いステージ。直線と直角、闇とストロボ。そして生ジャズ。20世紀前半のドイツってこういうことか。カリガリ博士はこんな街から生まれたんだな。単館映画を観てた頃、街の持つ圧力を全く想像できていなかった。こっちの世界にはぜひ一度行ってみたい。

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鼓介が小学校で第一次世界大戦について勉強しはじめた。私もドイツの歴史が気になってきた。

せんべい読書

実家から、みかん箱より大きいダンボールにほぼ煎餅のみギッシリという小包が届いた。今までも日本食の詰め合わせを送ってくれたが、とうとう一番の好物に一本化されたようでとても嬉しい。

本を読みながらベッドで煎餅ぼりぼり。小学校の放課後も、一人暮らしの暇な夜も、漫然としたあの時間を煎餅と読書でうめるのが最高のひとときで、ぼりぼりパラパラやってると今どうしてこの時間がほどんどないのか変な感じ。

読んでいるのは『Emil and the detectives (エミールと探偵たち)』。来月National Theatre に観に行く。3月には『モモ』の劇場作品が公開になるし、今年も児童文学が楽しい。

しばらく自分の昼食と夕食は煎餅だったから、久しぶりのきちんとしたご飯がおいしかった。
夫から鼓介にプレゼント。はじめての背番号入り。
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夕食 鮭フライ、グリーンサラダ、大根と蒟蒻の煮物、根菜の洋風スープ

呼んでみましょう サザエさん

12月31日
夫が不在票を持って郵便局に行ったら潤子ちゃんからの小包。中身はサザエさんのかるた、漫画。俳句付きの日めくりカレンダーと富士山模様のセロテープ。

サザエさんは最近まさに昔の映像をyoutubeで見ていたところ。何という神通力。夫は絶対前に言ったかどこかに書いたんだろうと言うけれど。

聞き取りやすい日本語のアニメを探していてたどりついた。サザエさんはゆっくり標準語で話す、ひらがなが多い。四季やご当地名物を紹介する日曜日と、日本人の暮らしがわかる火曜日のオープニング。それで生徒に紹介しながら自分の方がのめりこんでしばらくずっと歌っていた。同じような理由で今ドラえもんの最初の2巻がうちにある。これが世界の人と共有できるなんて幸せ。

重いペダルをぐいーぐいーとこいで前進した一年であった。カレンダーを取り替えて、最後の洗濯をして、エマの家の忘年会に行ってきます。雨が多い冬休みで、こどもはクリスマスプレゼントのマインクラフト(ゲーム)やレゴなど、室内遊び。
今年もよろしくお願いします。
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昼食 じゃがいもとミートボールのオーブン焼き、おしるこ

ワールドブックデー

3月7日ワールドブックデー。

イギリスの多くの小学校で、毎年こどもが好きな本のキャラクターの格好で登校する。このコスプレ学習の効果はすごい。学校中にアドレナリンが漂っていた。

女の子は赤ずきんちゃん、アリス、魔女、男の子は戦士、海賊、ウィリー・ウォンカ。単なる「ぼく」(白Tシャツ、ジーンズ、リュックサック)も立派な衣装。通学路ではワンピース(麦わら帽子と水筒)になっている高学年の子を見た。

鼓介は映画、DVD全般が嫌いで観たこともないのに前夜になって突然「ハリー・ポッターになる」と言い出した。急過ぎて無理と断って代りにダンボールできりんの被り物を作った(ロアルド・ダール『Giraff and Pelly and me』)。これがクラスで優勝して図書券をもらった。当日全校にハリー・ポッターが15人いたそうなので、きりんにして良かったねと嬉しそうだった。わたしは『Captain Underpants』のタリクがナンバー1だと思ったけど。新太は『Tiddler』。本人創作によるTiddler怒りの面と合わせて上着仕立てにした。

http://www.fairlawn.lewisham.sch.uk/2013/03/12/book-day/

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夕食 牛丼、納豆、じゃがいもの味噌汁

たのしい川べ

鼓介とWimbledonのPOLKA THEATREに『The wind in the Willows(たのしい川べ)』を観に行った。

すこし前に日本大使館から在英邦人向けのサービスで国語の教科書をいただいた。小学二年生(下)の巻頭は『おてがみ』。時同じくしてイギリスの鼓介のクラスでは『たのしい川べ』が読まれていた。かえるの季節。

劇場作品『The wind in the Willows』も、とても良かった。当時の階級社会を擬人化した話などというけれど4匹が友達なのがいい。性質の違う4人がわあわあやってる感覚がいいなあ。お話のはじまりが早春なのがいい。普段あまり交流のない人を積極的に花見に誘いたくなるような、新しい友達を作りたくなるような話。

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ロアルド・ダールのいなか道

現在ウエストエンドで絶賛されているミュージカル『マチルダ』。鼓介が2年生の一年間、学校で何度も扱われたロアルド・ダールの作品なので夏の楽しみにチケットを取った。それからわたしも原作を読んだ。

ミュージカルを明日に控えてぎりぎり読み終えたのだが、思いがけず読後感の悪い本で落ち込んでいる。

天才少女が読書に目覚めたはよかったが、両親と校長先生は救いのない無教養な悪者。そして近年すっかり暴力描写に弱くなっているので、お仕置き、仕返し、怒鳴る人が出て来るたび動悸がする。『三匹のこぶた』のおおかみが鍋て煮て食べられる結末がなくなって実はほっとしているほうなのだ。マチルダの最後は、両親を捨て優しい学級担任に育ての親になってもらってハッピーエンドということらしい。父親が盗難車を騙し売るディーラーで母親はパチンコ(ビンゴ)通いとTVドラマに狂っているというのもリアル。書いているうち気が晴れてきた気がする。あれ?やっぱり負けるなこども、あっぱれマチルダ?でいいってことかな。

しかしすごいのはだんだんいなか道が目の前に甦ってくること。どんどん物語りの毒気が抜けていくのは草のせい森のせいかもしれない。不思議なことだ。好きなイギリス児童文学には共通する自然背景がある。ロアルド・ダールの主人公はこの人の分身で風景は記憶の再現に違いない。そしてわたしは多作の作家の方が根が明るい感じがして好きだ。現在頭の中は二巡目の小学生であり、一回目の時の読書開眼期とまったく同じ本と旅する感動をロアルド・ダールからもらっている。

祝、村上春樹

第三回ブックグループ。

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』。

「イラッとする文」で終わらされたらどうしよう、と不安だったディスカッション。あまり不安だったので村上春樹の名誉のため自作のストーリーマップを持参。これが受けて終わってみれば大盛り上がり。

ハードボイルドワンダーランド章のSFアドベンチャーに乗り切れずギブアップの人も数名、「ブレイクポイントを越えたらあとは止まらなかった」という人も何人も。それが案外、この人には村上ワールドわからないかもと予想していた人だったりして面白かった。世界の終わり章はこっちだけ読んだらラブストーリーだというわたしの再発見に多くの賛同を得て大満足。人の内面を知るのは楽しいし、同じ感覚の友達を見つけるのはいつでも最上の喜び。この感動が生きる勇気のみなもとだ。ようやく、頻繁にそれが起こる段階に達しつつあって嬉しいと思う。

次回課題図書は『グレイト・ギャッツビー』。

夕食 ローストポテト、海老とマッシュルームのソテー、ガスパッチョ

児童文学と粋な劇団

ハーフタームホリデー後半。

劇場に『Tiddler』を観に行った。

原作の絵本作家ジュリア・ドナルドソンは今期のChildren’s Laureates受賞者だ。Children’s Laureatesは児童書の作者やイラストレーターに贈られる本屋大賞のようなもの。小学校には教科書というものがないが、教材に使われる作家をフォローすると面白い。常に何かが劇場で上映されているし、町の書店や地域の催しに作家本人が話をしに来たりもするので児童文学大使とも言える。

『Tiddler』はうちから電車で1時間ほどのロンドン北部FinchleyにあるArts Depotという劇場で観た。海のお話。シンプルな舞台におしゃれな男女3人組。ライティングや音楽、小道具のしかけがたくさん。凝った創作なのにモダンに見えて素晴らしかった。この粋な劇団はScamp theatreというそうだ。好きなお話の世界に行きたい願望は少女期のわたしの夢だが、良い演劇ほどに浸れる幸せってそうはないと思う。最近自分がイギリスの小学生そのものになりつつある。

昼食 力うどん(鼓介)チキンカツ定食(わたし、新太)餃子(みんなで)Finchley Central駅近くの和食屋『だるまや』にて。定食のボリュームが今ひとつ。

夕食 ジャケットポテト、酢豚、トウモロコシと豆のサラダ

ダニー・ボーイ

今月のブッククラブ小説『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を英語で遅々と読んでいる。難しいので日本語版も先に読み返した。村上春樹から一冊と言われて『羊をめぐる冒険』と迷った。あの景色はスコットランドでも通じると思ったから。

『ハードボイルド』日本語版を読み返した感想。世界の終わりに留まる僕に今回は温かい気持ちが涌いたのが新鮮。『羊をめぐる冒険』でも僕は鼠男を喪失するが、影の旅立ちを僕が見送るのと自分の分身を殺すのは痛みの種類が違う。『羊』の傷を伴って旅立つ終わりは清々しい。若さだ。世界の終わりの鈍痛を心地良いと感じるのは大人になったせいか。

ところが今日ふと思って『ダニー・ボーイ』を聴いて本当に驚いた。灰色の街の記憶が一気に映像的に起き上がって色彩を帯び、活字だけの印象よりずっと優しい世界になった。さらにこの音色で思い出したのは、僕によってこれから世界の終わりがほんの僅かずつ変わる希望、それをもう忘れかけていたこと。さっきからspotifyで色々なバージョンのダニー・ボーイを20曲くらい聴いている。タララ〜ララララララララ〜。ドライなSFにエンドロールが沁みてウィスキーの氷がカランと、そっちのハードボイルドだったか。名作だなあ。いつもの酒と音楽のくだり、『ダニー・ボーイ』はしつこく登場したからとうとう聴く気になったのだ。良かった。『羊をめぐる冒険』もいつか音楽つきで再読してみよう。

ウェス・アンダーソンの新作が公開。観に行かなくちゃ。

世界の終わりランド

もうすぐ永住権を申請する我が家。テスト『Life in UK』に向けて勉強を始める。社会の常識テストみたいなものだ。カフェに行くいい口実だ。英国の歴史、行政制度や移民政策など。百年前の日本から留学している気分。世界史が楽しい。歴史から得るもの。百年後の世界に戻るとき役立つのは何だろう。

昨夜は第2回ブックグループ。課題図書『ザ・コレクター』。1960年代の女学生を地下に監禁した男の話。誰かが若い頃夢中で読んだ本だと言って指定したのだ。気色悪い、憐れ、苛つくなどの意見。話はよくできていて面白い。同じ地下の話でもアリスだったらファンタジーなんだけど。次回はいよいよハルキ・ムラカミ。SFファンタジー『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』。村上春樹には英語訳と米語訳があるらしい。

昼食 スティルトンチーズと無花果チャツネのサンドイッチ

夕食 親子丼、ほうれん草ともやしの味噌汁

ミュージックルーム

先月スクールママの誘いでブックグループに入ってみた。今年の英語上達プロジェクトだ。

ブックグループでは同じ本を一定期間で読んで意見交換をする。欧米では社交の場として人気のスタイルらしい。

第一回目の課題図書は英国小説『The Music Room』。古城に暮らす家族。重度の癲癇持ちの兄と末っ子である主人公。話は面白いのだが、美しい文章が綴る情景描写と兄の事件の割合が3:1で三島由紀夫がサラサラになったような難読書である。全200ページの残りが80ページで来週木曜ミーティング。この土曜の晩に夫が飲みに出かけ、こどもが寝静まり絶好の読書タイム到来だが、何とも勢いのいる本なのでまずレモンケーキなど焼き、すらすら読める魔法のコーヒーと思いながらサイフォンを沸かしている。

昼食 炒飯(わたし)、ドライカレー(夫)、ピザとふりかけご飯(こども)
夕食 炒飯、素麺、アボカドサラダ

なくしたボタン

久しぶりにピーコートを着て自転車に乗り幼稚園に行く途中でボタンを落としてしまった。がまくんとかえるくんの話では同じ道を辿って戻り家の玄関で見つけるのだが、家の外にも中にも金色の錨のボタンはとうとうなかった。

諦めて日本国大使館に鼓介の小一教科書を受け取りに行く。在英児童にこくご、図工、生活科が無料で支給されるのだ。名作の宝庫、こくごの教科書。数年のうちにアーノルド・ローベルに再会するだろうか。

午後は庭掃除をした。まとめて植えたこぶりの水仙が一斉に芽を出して柔らかい針山のようになってきた。濡れた枯れ葉を大きなゴミ袋ひとつ分拾って捨てる。秋に隣でネズミよけの猫を飼いはじめたので庭中糞だらけ。今日ものうのうと庭を何度も横切り最後には芝生の上で丸くなってしまったので、うちの敷地でもよくネズミを穫るように言って聞かせる。トイレを貸すのはその交換条件なのだと。

放課後は学校のスクール・ディスコ。

昼食 海老とアボカドのサンドイッチ(わたし)、エビチリ弁当(夫)

夕食 肉オクラうどん(こども)、ラムのミントソテー(おとな)